栗本薫の作は初めて読んだが、こんな作品を書いて居るんだなと思った。なかなか暗いというか怪しい感じの世界観で、僕は非常に楽しめた。「羽根の折れた天使」は、鬼のような内面を持った子供が描かれていて、それに親が恐怖しているという感じだった。しかしその子を育てたのは、その親な分けで、親の背中を見て子供は育つんだなって考えると、その恐怖はさらに倍増するのでは無かろうか。「真夜中の切裂きジャック」は、この短編集の中では長い方で、じっくりと世界に入って行けた。しかし、わかりやすい世界観なのに、なんだかその世界に入っていくのには抵抗があった。きっと栗本薫の世界になれていなかったからだろう。全作品通して思ったが、大きな落ちはなく何となく狂気に満ちて終わっていく話ばかりだと感じた。