さすがに有名な作品だけあって、面白かった。1971年という古い作品なので、その時代を感じさせる所もたくさんあって、面白かった面もあった。全体的に暗い感じのする作品だった。しかし暗いと言っても闇を感じさせる暗さと言った感じで、僕の創作のようにただ絶望感を感じさせると言った感じではなかったので、読み進める時に重さというのではなくて神秘的なものを感じることができた。ところで、犬神明というキャラは、最初は暴力と言うか人との関わりを避けていたが、青鹿を愛する事を期に、人と関わり暴力に目覚めていった。人を愛すると言うことは同時に、人との闘争・暴力を生み出すことなのだろうかと、考えてみると寂しい。しかし、これが的を得ている面も確かにあると思う。