短編小説とはいうものの随分と読み終えるのに時間がかかった。全体として受けた印象は、やはり悪趣味だなぁと言うところだろうか。「ハンス・プファアルの無類の冒険」「メルツェルの将棋差し」といった科学的というか、何かを解き明かすような感じの作品は、あまり悪趣味でなく非常に読みやすかった。この小説集の中にはいろいろな作品があったけれど、なんだか終わり方がパターン化しているようにも感じた。これが、解説にある「完璧すぎる点」という物から来るものなのだろうか。江戸川乱歩は、このポオにちなんでそのペンネームを付けているのだろうが、作風として似ている点は悪趣味な所ぐらいじゃないのかな、とも感じた。