この話は、先に進むにつれて重苦しい雰囲気になって行くが、その苦しさに読んでいる僕自身が飲み込まれていない。それは、この巻でホー・シェンというカイルロッドと気の合うキャラクタが現れて、その二人の会話の中に安らぎのようなものを見いだすことができたからだろう。こういった所はやはりうまく書いているなぁと感じさせられる。
 この巻では、カイルロッドとイルダーナフが別行動をとり、平行するように話が書かれているが、この巻を読み終わって振り返ってみると全てを、イルダーナフが操っていたような感じを受けた。主人公はカイルロッドだけど、カイルロッド達の行動は水晶玉に写っていて、それをイルダーナフが見ているような感じだ。この巻の最後で、いよいよタジェナが現れた、これからの展開が楽しみだ。