非常に短い小説だった。その中で短い恋愛が描かれていた訳だが、簡単に予想できる結末なのだが、物語に感情移入していくうちに、読んでいる自分がその結末を否定して幸福な結末を想像してしまっていた。読み進める中で、主人公の恋は一方的な物となるように思っていた物が、主人公の恋の成就を祈るようになってしまっていた。ナースチェンカは酷い女で、主人公も情けない男だと、読み終えてすぐに感じたけれど、人ってそんな物だろう。そんな風にも感じた。主人公が最後に思う、「至上の法悦の完全なひととき!人生の長い一生にくらべてすら、それは決して不足のない一瞬ではないか。」とはいったいどういう意味なのだろうか。自分のひとときの恋への慰めでしかないのだろうか。