近頃ゲーミフィケーションと言う言葉をよく耳にするようになって来てネットで調べたりしていたのだが、いよいよゲーミフィケーションについての書籍も出版されたようなので手にとって読んでみることにした。この本ではソーシャルゲームが生まれた背景、ゲーミフィケーションのフレームワークとその実例としてGREEの「釣り★スタ」、mobageの「怪盗ロワイヤル」の分析、ゲーミフィケーションフレームワークのソーシャルゲーム以外への応用の考察などに触れられている。本来ゲーミフィケーションというと、ゲームで培われた人を楽しませる・夢中にさせるノウハウを生かして、ゲーム以外のサービスを楽しく使ってもらうために使われる言葉と理解しているが。この本では、ソーシャルゲームを中心に記載されているためその本来の部分が少し物足りない印象があった。逆にソーシャルゲームについてはかなり多くのページを使って記載されているので、ゲームのノウハウという部分はとてもわかりやすかったと感じられた。また、GREEの「釣り★スタ」の分析を読んだところでは、まだソーシャルゲームという言葉がなかった頃にこのような形のゲームを作成した先見性について純粋に感心した。
 ゲーミフィケーションのフレームワークとして、概念を「ソーシャルパワー」「目標→行動の選択→達成のプレイサイクル」「可視化」「運用」などに整理している点。また、プレーヤの分類として「主体的−相互的」「プレーヤ−ゲーム内世界」の2軸で「キラー、ソーシャライザー、アチーバー、エクスプローラー」に分類している点が非常に分かりやすかった。この2つのフレームワークから「初級者をプレイサイクルに乗せること」や「プレイへの没頭と、ユーザ間コミュニケーションのバランス」などがゲーミフィケーションを考える上で非常に大切になるという見えてくる。
 この本を読んでゲーミフィケーションの考え方が少し見えてきた気がして収穫が大きかった。ただ、ゲーミフィケーションが流行ると、間違った使い方をするサービスが増えてくるのではないかなという感想も持った。この本でも触れられているが、ゲーミフィケーションはあくまで本来のサービスをエンパワーするための仕掛け作りの道具であって、本来のサービスがユーザに求められているものであることが前提となる。この点がずれたサービスばかりになってしまうことが無いように正しくゲーミフィケーションを啓蒙していくことが求められるのでは無いかなと、直接関係ないけれど、この本を読んでいて感じたもう一つのこと。