Amazonのランキングがどのように決められているかというのを確率論で解き明かしていく数学の本。AmazonというECサイトはリコメンドなど含めて技術的にも面白い側面があるサイトということもあってタイトルに関心を持ってこの本を手に取ってみた。この本で扱っているテーマは、ランキング上位ではない書籍につけられるランキングについて。上位に食い込む書籍のランキングは販売点数で計算していると思われるが、ほとんど売れない本にどのようなアルゴリズムで順位付けを行っているのであろうか?、という疑問をAmazonのサイトの観察結果から数学的に解き明かしていく。文系の人にもとっつきやすいようにと縦書きで読み物チックな感じで構成されている。とは言え、あくまでも数学の本なので、数式があまり出てこないとはいえとっつきにくさはあると思う。
 この本ではAmazonのランキングのアルゴリズムを解き明かすと同時に、Amazonのロングテールビジネスは成り立っているのかについて言及している。ロングテールとは、一般的な商店では売り上げが一部の人気商品で成り立っているが、(Amazonのように)たくさんの商品を扱うとあまり売れない(人気の無い)商品が一部の人気商品の売り上げを凌駕する、という様子をさす。この本では、Amazonのロングテールが成り立っておらず、やはりAmazonでも一部の人気商品の売り上げに依存しているのではないかと考察されている。この結論を導き出すまでのプロセスがミステリーチックに描かれていて面白いので、文系の人でも数学的なことはスルーして読んでみると楽しめるのではないかなぁと感じた。