何故に、コンサルでなく、外資系コンサルというテーマにしてあるのかなぁ。と思って読んでみたのだが、要するにマッキンゼーとボスコン(ボストン・コンサルティング・グループ)をテーマにしているからということのようだ。この本の構成は、大企業だけでなく政府機関などを含めてコンサルティングを受けて意志決定を行うようになっているという現代の状況から、日本におけるマッキンゼーとボスコンの競争、コンサルタントの考え方(ロジックツリー、MECE、フレームワーク)、コンサルの問題点について触れられている。
 この本の結論を言ってしまうと、安易にコンサルに依頼するのは問題が多いから、コンサルを使う立場の人はコンサルの問題点をきちんと把握した上で、うまく使っていきましょうという事だと思う。その問題点が現実のものとなったわかりやすい例として、米国AT&Tの例が上げられている。5年で5億ドル(500億円強)近いコンサルティング料を払っていながら、業績が回復しなかったという事例である。コンサルティングファームは、社会的に何の成果も上げずに多額の利益を上げたということになる。コンサルティングファームとしては報告書をAT&Tに納めた正当な報酬と主張することは可能だが、高額の報酬を得ながら世間の役に立たなかったということは疑いようのない事実である。
 コンサル自体はビジネスなので、当然コンサルティングファームの利益を最優先する。クライアントは、そのことをしっかり理解した上で、コンサルを利用する必要がある。この本には、それ以外にもクライアントから得た知識を、抽象化しているとは言え、他のクライアントに展開してしまうと言う問題も上げられている。
 コンサルに対して、盲目的に好意的な本が多い中、というよりもコンサルタントやコンサルタント上がりの人が書いている本が多いのが実態かもしれないが、よい主張を行っている本だと思った。