この本が、自殺の弁護本だという非難があるようだが僕には到底そうだと思えなかった。恋をすることで自殺をしてしまうのが不幸だとか、自分が人妻に恋をしたことがないから幸福だとか、そういうことでもなく。しかし、ここにはエゴイズムを描いていると決めつけられない。けれど明らかにここに挙げられているのは、ウェルテルの自分へのエゴの確認のように感じる。僕自身は、外面に出せる部分のエゴ・わがままよりも、例えば内面に書く部分(例えば手紙とか)のエゴの方が出すことが難しいと思う。たとえエゴでも手紙という形で、エゴのようなものを出せるウェルテルは、男らしいと思う。