近頃、美術館に行くことは出来ていないけれど。絵画を見るのは好きで、気に入った絵があるとずっと見ていたりする。その絵画が描かれた歴史や文化的な背景を知っていると絵画の見方の幅は広がるので、(美術館に限った事では無いけれど)予習をしてから行くと非常に充実した鑑賞が出来る。とは言うものの、しっかりした美術史の本などを読むのも少し億劫なので、お手軽そうなこの本を手に取ってみた。

この本ではルネサンス期から20世紀の有名な絵画23点を、歴史・文化背景等を交えながら紹介している。テンポの良い流れで、中学や高校の世界史で学んだことと重複する部分も多いので、すぐに読み終えられる。取り上げられているのは、ラファエロ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、フェルメール、マネ、モネ、ゴッホ、ピカソ、ムンク、ダリなど、誰でも一度は見たことがあるような絵画が多いので、内容の面でも親しみやすい。

メインとなる絵画の紹介部分は知的好奇心を満たし面白い。やっぱり「モナ・リザ」はすごい絵画なんだなと、再認識した。メイン部分の他に、4章で取り上げられている美術館散策について、美術館で順を追って鑑賞しようとすると集中力が持たないので、集中して見る絵を決めてから行くことを薦めている部分などは、とても納得できる。ノウハウ本という観点でも役に立つ。

タイトルには「知的教養」という堅そうな言葉が入っているが、中身はお手軽な本。プロローグには、「ビジネスはアートに似ている」として、著名なビジネスパーソンがアートに親しんでいる事が紹介されていたりするが、ビジネス書の位置づけでも買って欲しいという「売り文句」という感じで、娯楽として楽しめば良いと思った。