「技術者が嫌い」と言っていた、優秀な技術者の知り合いが居るのですが。
彼の言っている気持ちが、なんとなくわかるなぁと思ったので、
このエントリで、少し整理してみたいと思います。

私は、自分自身の事をあまり技術者らしい技術者だとは思っていないのですが、
技術はそれなりに好きです、技術者が嫌いという気持ちもわかります。
技術の何が好き、興味深いかというと、
例えば、次の2つの点が上げられると思います。

  • ①技術で何かを作るのが楽しい
  • ②技術を深く知る・突き詰めるのが楽しい

「①技術で何かを作るのが楽しい」は、感覚的にわかりやすいと思います。
ピアノの鍵盤を叩けば音が鳴る事も面白いですし、
それを組み合わせて、練習すれば音楽を奏でられるというのと同じ感覚です。
例えば、豆電球と電池と導線があれば、光を点す事が出来、
組み合わせると、光で映像を流すことも出来るし、
それをコミュニケーション手段として応用することで、世界を変えることも出来ます。
夢を見ながら試行錯誤出来る楽しさ、と言い換えても良いでしょう。

「②技術を深く知る・突き詰めるのが楽しい」は、少しわかりにくいかも知れないですが。
技術の原理を理解する楽しさです。
原理を理解していると、事象が起こった原因説明や問題解消が出来ます。
パズルを解くような面白さ、推理小説のような興味深さと同じ感覚かと思います。
情報システム(コンピュータのソフトウェア)を作るときに、
よく問題になることの一つに性能が出ない(遅い)という事があります。
これも原理がわかっていると、パズルを解くようにすっきりと解決出来る事があります。
こちらは、原理を知ることで、難問をエレガントに解く楽しさ、という感じでしょうか。

ところで、2つ上げた技術の興味深さですが、
技術者が技術を生かして、ご飯を食べていく(お金を稼ぐ)という観点で考えると、
必ずしもプラスに働くとは限らないのです。
どちらの観点も、ほどほどのところで妥協して成果物としてまとめなければお金にはなりません。
世の中を変えるようなすごいものを作る夢はいつまでも追えるし、
原理の理解と、原理を理解した上での改善もいくらでも突き詰めることが出来ます。

ほどほどのところで妥協することが出来ず、優先順位や納期、コストを意識できない、
好きだけで技術している技術者と一緒に働くのは、しんどいというのが正直な感想です。
また、自分が時間的制約などから妥協しながら作ったものに対して、
もっとよい作り方が出来るのにけしからん、と、過剰に避難されるのも、面倒だなと感じます。

このような、自分のことしか考えていない「わがまま」さにおいて、
技術者が嫌いだなという気持ちになることがあります。

技術者ならではの「わがまま」さがあるのは確かなのですが、
技術者でなければ「わがまま」ではないのか? という問いもあって。
これに関しては、技術者以外も「わがまま」だし、技術者よりも酷いケースが多いと感じています。

例えば、スタートアップの起業家などは、
文化祭前夜にドタバタで準備するノリみたいな日々を楽しんでいるだけで、
自分たちが作るモノやサービスの利用者のことを全く考えていない、という人をよく見かけます。

技術者であるなしにかかわらず、利己的な人は多いので。
身も蓋もない言い方ですが、
「わがまま」な人とは、さっさと付き合いを止めるべきなのでしょうね。